広輔“神っ手”連勝!リプレー検証でセーフ、鯉日本一確率78%

 「日本シリーズ・第2戦、広島5-1日本ハム」(23日、マツダスタジアム)

 “神の手”が勝利を呼び込んだ。広島は1-1で迎えた六回、本塁クロスプレーで一度はアウトと判定された田中広輔内野手(27)が日本シリーズ初となるリプレー検証の結果、セーフとなり、勝ち越しに成功した。これで流れをつかんだチームはこの回4得点。本拠地で見事な連勝スタートを飾った。初戦から連勝したチームの日本一確率は78%。鯉よ、この勢いのまま32年ぶりの頂点へ駆け上がれ。

 静寂の後、真っ赤なスタンドが息を吹き返す。“神ってる”男は、日本シリーズでも“神って”いた。判定を覆した神の手。CSのMVP・田中が、左手で連勝をつかみ取った。

 緒方監督は万雷の拍手の中、勝利監督インタビューで声を上ずらせた。「素晴らしい攻撃でした!」。熱狂の中でも変わらない普段着野球。同点の六回に展開した。

 先頭の田中が左翼線二塁打。続く菊池は初球から3球連続でバントの構えを見せて、全て見送った。カウント2ボール1ストライクからの4球目。バスターで三遊間へゴロを転がした。

 二塁方向へ動いていた遊撃・中島が追いつけない。打球が芝生を転がる間に、二走・田中は三塁を蹴った。本塁でのクロスプレー。タイミングは微妙だった。田中は回り込んでスライディングし、左手で本塁をタッチ。「ああいう練習はしてきた。感覚的には手が先かなとは思ったけど…」。だが、白井球審の判定はアウトだった。

 悲鳴と怒号が飛び交う。緒方監督は一塁ベンチを飛び出した。審判団はすぐさまビデオでのリプレー検証を選択。映像を見極めた結果、責任審判の丹波二塁塁審が「田中選手の手が先にホームに触れていましたので、得点としてプレーを再開します」とアナウンス。勝ち越しの1点が転がり込んだ。

 田中は一塁ベンチ最前列でガッツポーズ。一気に潮目が変わり、六回に一挙4点を奪取。勝負は決した。

 神の手スライディングが大舞台で誕生した背景には、河田三塁ベースコーチの経験と、選手への信頼もあった。「(田中は)1歩目の掛かりが一番いい。1歩目から100%」と同コーチ。際どいタイミングだったが、能力を信じて迷わず腕を回した。

 河田コーチの中に息づく王道野球も背中を押した。「原点は伊原(春樹)さん。西武に行った時、細かくミーティングで教えてくれた。今でもミーティングのノートを持っている。根拠を持って回すこと。学ばせてもらった」。経験値が大舞台で生きた。

 第1戦は重盗で先制点を奪い、第2戦も足で流れをつかんだ。シーズンを制した野球を日本シリーズでも繰り広げている。「今までやってきた野球ができている」と田中。緒方監督も「短期決戦は全てがバントで点を入れる野球ではないからね」。力を出し切った選手の姿に目を細めた。

 地に足をつけた野球で、本拠地で連勝スタート。上昇気流に乗って、北海道へと乗り込む。32年ぶりの頂点まであと2勝。今の広島には敵地での苦境をはねのける風が吹いている。

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