新井貴浩が教えてくれた
【3月13日】
人生、縁だと思っている。いきなりスピリチュアルな書き出しでゴメンなさい。僕自身、無宗教で、とりたてて信仰心が深いわけではないんだけど、これだけは実感として携えている。
ご縁を大切にしなさい。昔からよく言われたし、オトナになってからその意味がよく分かるようになった。
昔話を書けば、デイリースポーツに入社したのも縁だし、阪神担当になったのも縁。そこで金本知憲や新井貴浩の番記者になったのも縁。もちろん、岡田彰布というV請負の知将に出逢ったのも縁。サッカー担当になったのもそこで日本代表選手と出逢い、W杯を取材できたのも縁…って、キリがないんだけど、逆もあると思っている。
それこそ、就活で大手旅行代理店に内定したのに行かなかったのも、ある意味、縁がなかったと思っている。
僕の勝手な見方だけど、岡田は縁の有る無しをよく見ている人だと思う。
勝負の世界に身を置く者は、それがなきゃいけないとも思う。
「あいつが来たら勝てへんわ」
昔から岡田は冗談めかして番記者にそんなふうに言う。来たら…というのは、取材に来たらという意。新聞記者もサラリーマンだから、出勤日とそうでない日がある。出張もしかりだ。
僕の場合、虎番キャップを務めた時代は、自分の出勤日の勝ち負けをめちゃくちゃ気にしたし、番記者時代は、出勤日に於ける担当選手の成績、そして、故障も気になった。「ケガはつきものだけど、とはいえ…」なんて思いながら取材したわけだけど、幸運なことに、担当していた選手が連続試合フルイニング出場の世界記録を更新し、その弟分も故障しない選手だった。
弟分…現カープ監督である。
その男が、唯一大きなケガをしたのが、ここ千葉だった。
「マリンですよ。腰がおかしくなったのは…」
08年の夏、星野ジャパンの4番からそう聞かされて驚いた。彼は第5腰椎の骨折をおして北京五輪に強行出場したわけだけど、6月中旬のロッテ戦、その打撃練習中に折れていたのだ。
あの年の千葉マリンでの2連戦、僕は出勤だった。当時岡田阪神の3番打者は計9打数4安打と爆発したが、腰に激痛を抱えながら打っていたとは気付かなかったし、それよりも、自分の出勤日にケガしとったんか…と、あのときは、それも気になった。
実は、日本一に輝いた昨年、僕が球場で試合を見る日にある主力がよく打った。もう番記者ではないので以前ほど気にはならないけれど、打率を計算すれば、驚くほど自分の出勤日と相性がいい。本人には伝えていないが、これも良縁…だと勝手に思っている。
さて、連敗を9で止めた岡田阪神である。僕は虎関連の別業務と休みが重なって、この負けた9試合を一度も見ていない。沖縄の練習試合3連勝を含め当欄は今年4連勝!と、ほくそ笑んでいる。「新聞記者も縁と相性は大事ですよ」。昔担当した選手から教わった〈格言〉である。=敬称略=