高松商・香川13K完封 165センチエース強気の投球で斬り斬り舞い

 「選抜高校野球・1回戦、高松商8-0春日部共栄」(23日、甲子園球場)

 開会式と1回戦3試合が行われ、高松商(香川)はエース左腕・香川卓摩投手(3年)が4安打13三振で完封。打線も15安打8得点の猛攻で春日部共栄(埼玉)を下した。市和歌山は延長十一回サヨナラで呉(広島)を破り、和歌山勢春100勝をマーク。星稜(石川)は履正社(大阪)を破り石川勢春20勝。

 小さな“ドクターK”がマウンドで仁王立ちだ。13三振を奪って4安打完封。9回を投げ終えた高松商のエース・香川は、お立ち台の上で胸を張った。

 「リズムよく投げてチームに流れを持ってきたかったので、よかったと思います」

 強気に直球を内角へ投げ込み、スライダーやチェンジアップ、スクリューなど多彩な変化球もさえ渡った。1-0の五回の攻撃では自ら2点タイムリー。関東大会で横浜の153キロ左腕・及川を打ち崩した強打の春日部共栄打線を寄せ付けず、スコアボードに9個の「0」を並べた。

 165センチ、62キロの体に宿る強じんな精神力は、幼いころから父の厳しい指導で培われた。高松商の「1番・中堅」として96年春夏の甲子園に出場した父・竜志さん(40)。香川は3歳時にプラスチックのバットと小さなグラブを与えられ、一緒に猛練習を始めた。「ビビるな!向かっていけ!」と説き続けられ、小・中学時代は鉄アレイを持って毎日5キロを走り込んだ。

 「泣きながら練習することもありました。早く甲子園に行って、父を見返してやりたいと思っていました」

 そう振り返る香川が甲子園で使うグラブには、「親孝行」の3文字が刺しゅうされている。息子の快投をアルプス席で見届けた父は「ナイスピッチング。仕事を果たせたと思います」と目を細めた。松山商に続く史上2校目の大正、昭和、平成の“3元号V”を狙う春。エースは「応援してくれる人に、また1勝を届けたい」と誓った。

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