吉川「9人野球」で完全燃焼 エース負傷も控え選手なし…漫画のような青春野球
「高校野球兵庫大会・1回戦、鳴尾9ー2吉川」(7日、ベイコム球場)
吉川が敗れたものの「9人野球」で完全燃焼だ。控え選手がいない状況で、二回にエースで主将の南颯馬投手(3年)の右ふくらはぎに打球が直撃。仲間に背負われてベンチに下がった。幸い「筋肉に当たったので」と治療後に一塁でプレー再開。今夏にかけた気持ちが、その後のドラマを生んだ。
負傷直後の二回の攻撃だ。南が先頭から死球で出塁。続く熊谷都汰内野手(3年)が「南が足を痛めて走れないのでゆっくり歩いてかえしてあげようと思った」と気持ちを込めたスイングで左翼席に狙い通りの2ラン。自身の高校第1号が最高の場面で飛び出した。
6月に助っ人2人を加えて9人となり、現チームで初めて単独で公式戦に挑んだ。仮に南が出場不可能なら「没収試合」で敗退となっていたが、徐々に痛みも治まり七回途中からは再び登板した。
「負けたことは悔しいですけど、助っ人の2人も2年生も全力でプレーしてくれて心に残りました」と南。誇らしく思える最後の夏となった。