「全国高校野球選手権・３回戦、中京学院大中京９－４東海大相模」（１６日、甲子園球場）

　３回戦４試合が行われ、中京学院大中京（岐阜）は、東海大相模（神奈川）に勝利して４４年ぶり２度目の８強進出。

　何とも頼もしい“弟”だ。中京学院大中京の１年生５番・小田は、勝負どころでも冷静そのものだった。「内角の直球は予想通り。反応できた」。七回に２点差を追いつき、なお１死一、二塁。この日３安打目となる決勝適時打を、きっちりと右中間にはじき返した。

　１５日が１６歳の誕生日だった。二回の第１打席では、アルプスからハッピーバースデーが流れ、客席も拍手。直後に同じ１年生の東海大相模・石田から二塁打を放ち、先制点を演出した。強力打線をけん引し、勝利の立役者に。１日遅れの誕生日の祝福には「本当は昨日歌って欲しかったけど、勝ったので今日でもよかったかな」と、お立ち台で笑った。

　６人きょうだいの５番目。練習見学した際の野球を楽しむ雰囲気に、東京から岐阜への進学を決めた。初めての寮生活と地方暮らし。信号がなくても止まってくれる車にほっこりし、寮の風呂場では湯船につかりながら、先輩に野球談議だけでなく恋愛相談もお願いする。そんな人懐っこさが、バットを握れば一変。兄貴分の高畠和希外野手（３年）は「かわいらしい感じですけど、グラウンドでは頼りになります」と、存在感を認めた。

　橋本哲也監督（５５）には「甲子園を楽しんでこい！」と言われているメンバー唯一の１年生。Ｖ候補の一角を撃破し、ますます聖地で波に乗る。