日本野球に適応する助っ人の絶対条件 内田順三氏の記憶に残る選手たち

 プロ野球で、チーム浮沈のカギを握る助っ人の存在。デイリースポーツ・ウエブ評論家の内田順三氏(前巨人巡回打撃コーチ)に、外国人野手が日本で成功するための「絶対条件」について聞いた。

  ◇  ◇

 日本野球にはまったな、ということで思い出すのは広島で1年目(04年)に40発を打ったラロッカだね。前年に活躍したシーツはメジャーでの実績もあり、正遊撃手としてもともと期待値は高かった。ただ、ラロッカはメジャーでの実績は乏しく、本塁打もなし。獲得を決める前に松田オーナーから呼ばれて映像を見ることになった。長打力に乏しいということだったが、映像では広角に打ち、広いアメリカの球場でフェンス間際まで飛ばしていた。向こうでは物足りなさがあったかもしれないが、「これはいけるんじゃないか」と話したことを覚えている。

 外国人選手が日本で成功する絶対条件は、センター中心に逆方向への打撃ができるか。外国人選手は練習では逆方向から打つ打撃を教えられているが、これを試合で継続できているかは別。プルヒッターになってしまう選手もいるし、日本で期待を背負い過ぎて力んでしまう選手もいる。試合でも逆方向への打撃を意識できていれば、ランナー三塁でも犠牲フライを打つ確率は高く、打点も増える。日本で活躍したクロマティ、ロバート・ローズ、バース、ペタジーニら、思い浮かぶ選手は逆方向への打撃も見事だった。

 よく言われるように、日本で成功したいというハートも大事。巨人ではギャレット、広島ではエルドレッドが好感を持てる選手だった。外国人選手はプライドもあるから指導するということは少ないが、タイミングを見て助言することもある。ふたりとも「イエッサー、イエッサー」とこちらの話を聞き、何とか順応しようとする姿勢があった。特にエルドレッドは2年目を終えたオフに契約が切れそうになるのを野村監督の希望で残留。おそらく、人間性にも可能性を感じていたのだと思う。結果的に、この判断が3年目の本塁打王につながった。郷には郷に従え、という気持ちがあるかはやはり大切だと思う。

 過去には巨人にフランシスコという外国人がいたけど、そりゃ、すごいパワーだった。大きなお腹だったけど、フリーバッティングではケタ違いの打球を飛ばす。ただ、怠け者だったね。打撃練習が終わったらベンチにどっかり座ってやることもやらない。参ったよね。これではなかなか難しい。俺には冗談も言って、明るい一面もあったけど、惜しい選手だった。

 ドミニカから来日し、広島にいたソリアーノがメジャーで大成した例があるように、ハングリー精神を備えているかは大事な要素。そういう点では昨季まで見ていた巨人・モタに注目している。今年のキャンプで結果を残して支配下登録されたが、ジャイアンツ球場のスコアボードにぶつけた時はたまげた。日本で成功しようというハングリーな気持ちもかなり強い。何とか大成してほしいと思う選手のひとりだし、大化けの可能性は大いに秘めている。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

野球最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(野球)

    話題の写真ランキング

    写真

    デイリーおすすめアイテム

    リアルタイムランキング

    注目トピックス