ヤクルト・川端 代打サヨナラ打!神宮今季初打席、苦しみ続けた男に笑顔

 「ヤクルト6-5巨人」(25日、神宮球場)

 震える足で、一歩ずつ前へと踏み出した。本拠地・神宮での今季初打席。大きな拍手が、ヤクルト・川端の背中をそっと押した。「やっとここまで来られて、お立ち台にも立てて…。本当に不思議で仕方ないです」。サヨナラ打を奏でたのは、苦しみ続けた男。笑顔が咲いた。

 追いつかれてもなお、誰も諦めなかった。九回表に同点とされるやいなや、川端は準備開始。代打での出番に備えた。その裏1死満塁、バットを強く握ると、2球目だった。「打った瞬間、やっと歓声が聞こえました」。集中力を研ぎ澄ませた一打で首位・巨人を打ち砕いた。

 今年1月に腰の再手術を決断。リハビリ開始後は来る日も来る日も、ひたむきに今、やれることを探した。2月には一人、東京で過ごす中で「沖縄で野球をやっている夢まで見ちゃったよ」とポツリ。笑顔の裏で、声は消え入りそうだった。

 今季3度目のサヨナラは、復活を印象づける価値ある白星となった。登場の際のビジョンに表示された言葉は“夢”。「明日も勝ちたい」。川端の紡ぐ夢物語はまだ、始まったばかりだ。

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