智弁学園・西村、必ず戻ってくる 無念サヨナラ負けも高橋と堂々投げ合った
「高校野球交流試合、中京大中京4-3智弁学園」(12日、甲子園球場)
智弁学園(奈良)は昨秋の神宮大会王者・中京大中京(愛知)にあと一歩及ばなかった。今大会初のタイブレークとなった延長十回にサヨナラ負けを喫したが、2年生左腕・西村王雅投手は一人で投げ抜き、中京大中京・高橋との見事な投げ合いを演じた。加藤学園は阪神などで活躍した佐々木誠監督(54)率いる鹿児島城西を下し、春夏通じて初の甲子園で初勝利を挙げた。
三塁側から歓喜の声が響く中、西村は本塁付近でうずくまった。あふれ出る感情を抑えきれない。無死一、二塁から打順継続で行うタイブレークに突入した延長十回、自らの失策が絡み無死満塁を招くと、最後は二塁失策からのサヨナラ負け。「(涙は)3年生と最後に勝ちたかったので、自分は勝つと思っていたので勝てなかった悔しさです」。それでも、150球の熱投は色あせない。
「(昨夏は)全国レベルが分かってちょうど1年で、球威とかスタミナとかコントロールを課題にしてましたが、高橋投手にかなわないです」
力の差を痛感したものの、堂々の投げ合いを演じた。初回に3失点しながらも崩れず、自己最速タイの138キロを記録するなど、その後は無失点。バットでは、四回2死満塁で同点の2点右前適時打を放ち「六回ぐらいからは自分が投げ勝つと思って投げてました」と前を向けた。投打で輝いた躍動だ。
1年前の8月12日、夏の甲子園の八戸学院光星戦に1年生で挑み、3番手で登板したが3失点で敗戦投手に。前日には昨年のエースだった山本奨人さん(現仏教大)から「楽しんでいいボールを投げてこい」と連絡をもらった。2年続いた悔し涙は、糧としてこそ恩返しとなる。
「新チームで一から出直して、センバツと夏に出てどちらも日本一になりたいです」と西村。さらに成長して、必ず帰ってくる。