オリックス【きょうは何の日】1987年9月1日、松永弾で工藤討ち、デカプロ初弾、星野9勝目
「西武2-3阪急」(西武球場)
同点で迎えた延長十回。松永浩美は左腕・工藤公康の初球にバットを出すが対左腕用のバットは無残に折れた。
「しまった!」
スイッチヒッターの松永は右打席用の予備のバットを入れてなかった。慌てて左打席用のタイ・カッブ型で打席に戻る。右打席でこれを使用するのは初めて「内角の球に芯さえ当てれば」と狙いを絞っていたところに内角カーブ。狙いすました打撃で左翼スタンドに運んでみせた。決勝の7号アーチとなった。
「オレが打ってチームが勝ったと知らせてやりたい」
母・ミサ子さんが脳内出血で倒れたのは4日前。チームを離れ故郷・八幡市立病院に駆けつけた。手術を見届けこの日チームに再合流したばかりだった。
1点を追う五回は当時のウエスタン新記録となる21本塁打を放ちプロ初昇格したばかりの高橋智が工藤からバックスクリーン左へ同点のプロ1号を放っていた。
松永の一発に救われたのは先発の星野伸之。7月10日に日本ハムを完封して以来、5連敗と苦手の夏に苦しんだが、ようやく9勝目をつかんだ。
「もう勝てないかもしれないと思った。長かったなあこのトンネルは」
この3連戦限定で抑えにまわっていた佐藤義則もきっちり最後を締めた。
上田利治監督は「高橋の一発でベンチが息を吹き返した。星野もよう投げたが、勝ち越せば佐藤と決めていた。(首位・西武と)3差となれば相手も慌てるで」と興奮を抑えきれなかった。
当日のスタメンは次の通り。
(8)※小林敦美
(8)本西厚博
(4)福良淳一
(3)ブーマー
(7)石嶺和彦
(5)松永浩美
(9)簑田浩二
(D)高橋 智
(2)藤田浩雅
(6)弓岡敬二郎
(P)星野伸之
※偵察メンバー