岡田、無死満塁KKK 開幕カード虎狩りへ頼もし

 「オープン戦、広島1-2ヤクルト」(11日、福山市民球場)

 広島の岡田明丈投手(23)が成長の証しを示した。先発で5回を投げ、4安打2失点。五回には無死満塁の絶体絶命のピンチを背負ったが、慌てることなく後続を3者連続三振に抑えた。2年目を迎える今季、ローテの一角として飛躍が期待される右腕。31日からマツダスタジアムで行われる阪神との開幕3連戦での先発に向け、仕上がりは順調だ。

 堂々とマウンドに立ち続ける姿が頼もしかった。どれだけ走者を背負っても、岡田は表情を変えない。五回に招いた絶体絶命のピンチ。「自信のある球で勝負ができた。粘ることができたのは、収穫です」。自分を信じて右腕を振り抜き、無失点で切り抜けた。

 先頭グリーンに右前打を浴び、暴投で二塁。続く中村には中前へ運ばれて一、三塁とされ、再び暴投で二、三塁に。さらに西浦に四球を与え、すべての塁が埋まった。しかも無死。「力んで投げてしまいました」。それでもここから驚異の粘り強さで、球場を真っ赤に染めた福山の鯉党を沸かす。

 広岡を膝元への直球で見逃し三振。続く荒木にはファウルで粘られ、フルカウントとされたが動じない。直球に的を絞っていると察知すると、外角へのスライダーで空振り三振に仕留めた。最後は比屋根を自慢の剛球で押して空振り三振。圧巻の3者連続三振で切り抜けた。

 0-2で迎えた試合の中盤。これ以上失点すれば主導権を完全に手放す場面を食い止めた。先発には安定感を求める緒方監督は「球に力があったね」と目尻を下げた。

 オープン戦のテーマは右打者の内角へ直球を投げ込めるかだ。昨季、対左打者の被打率が・228に対し、対右打者は・299だった。右打者に対しては外角一辺倒の投球が多く、的を絞られたのがその原因だ。シーズン中から自覚があり、春季キャンプから弱点を克服するためにブルペンなどで練習してきた。

 この日は6人の右打者と計14度対した。西浦には高めに浮いた球を捉えられて2ランとされたが「インコースにしっかりと投げ込めるようにと思っていたけど、できたと思う」と手応え。課題克服へ、また一歩前進した。

 ジョンソン、野村の左右のエースに続く3番手として期待される岡田。本拠地で阪神を迎える開幕カードでの先発が濃厚だ。残り2試合のオープン戦を経て、虎狩りに臨む。「一戦一戦を投げきれるように準備していきたい」。若き鯉の右腕が、言葉に力を込めて前を見据えた。

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