加藤、次こそ! ほろ苦神宮凱旋も成長見せた 6回3失点、2敗目

 「ヤクルト3-1広島」(21日、神宮球場)

 広島のドラフト1位・加藤拓也投手(22)=慶大=がプロ入り後初の神宮凱旋を勝利で飾れなかった。プロ初被弾を含む6回5安打3失点で今季2敗目。ただ、3度目の先発で直球とフォークの精度は向上。チームは3連敗を喫したが、次回登板へ期待を抱かせる113球だった。

 三塁側ファウルゾーンを歩いた帰り道。東京の鯉党は優しかった。「加藤~次は頑張れよ~」。厳しいヤジはない。温かなエールを背中に受け、ルーキーは投球を振り返った。

 「そこの詰めの甘さというか、そういうのが多いので…」

 加藤が悔やんだのは0-1で迎えた四回。バレンティン、雄平から2死を奪いながら、西田、中村へ連続四球。畝投手コーチが「投げ急いでいるのかな」と首をかしげる変調でピンチを背負うと、大引の中前適時打で2点目を許した。

 さらに、鈴木のソロで1点差に迫った五回は荒木にプロ初被弾。フォークを中越えに運ばれ、「不用意に点を取られた。点を取ってもらった後だったのに」と唇をかんだ。

 プロ3試合目で大学時代を過ごした神宮に帰ってきた。登板前日は「勝手は知っているので。投げやすいとかはないですけど、見え方とかは知っている」と冷静に話した。それでも特別な場所に変わりはない。昨秋には東大相手に史上24人目のノーヒットノーランを達成。大学通算では24勝をマーク。ドラフト1位候補として名前をとどろかせた。今季2敗目の結果は6回5安打3失点。凱旋勝利はつかめなかったが成長の跡は刻んだ。

 最速151キロの直球は威力があり、フォークの精度もアップ。緒方監督は「いいところもたくさんあったし、ちょっと短所が出たところもあった。力のある真っすぐ、低めのフォークで空振りを奪えていたし、いいところを伸ばしてほしい」と評価した。畝コーチも「四球はもったいなかったけど徐々に良くなっている」と上がり目を感じ取った。

 「前回よりは確かに良かった。でも、試合を作った感じがしない。いい時と悪い時がはっきりしているので、コンスタントに安定させないといけない」

 3試合連続でクオリティースタートを達成しながら、加藤は渋い表情。ただ、プロ野球人生は始まったばかり。もう一回り大きくなって神宮に戻ってくる。

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