会沢 魂のV打「大地が完封したことがうれしい」二塁塁上で感情爆発
「広島2-0中日」(25日、マツダスタジアム)
誰よりも大瀬良の完封を喜んだのは広島・会沢翼捕手だった。九回2死一塁。阿部を中飛に打ち取り試合が終わると、笑顔でエースと抱き合った。「何とか勝ちを付けてあげたいと思っていた」。右腕を鼓舞し続け、バットでは値千金の決勝打。グラウンドの中心で会沢の背中が一段と大きく見えた。
0-0の八回2死一、二塁で打席に立ち、ロドリゲスの156キロ直球を振り抜いた。左中間を真っ二つに破る2点適時二塁打。二塁塁上で何度も拳を握り、感情を爆発させた。
リードでも右腕を引っ張った。中盤まではカットボール、スライダーを軸に組み立て、3巡目以降はフォークを使い、的を絞らせない。「いろいろな事を話し合ってきたから。頼もしいですね」。意見をぶつけ合い深めてきた信頼が、最高の結果に結びついた。
平成最後となる本拠地での戦い。これまでを振り返り「苦しいことの方が多かった」とこぼした。長打力を生かすため外野で出場したこともある。左肩の脱臼や2度の頭部死球もあった。その全てが今に生きている。
前日24日に野村と立ったお立ち台に、この日も背番号「14」と上がった。「大地が完封したことがうれしいよ」。エースの勝利を、自分自身のことのように喜んだその姿が、何よりも頼もしかった。