カープ長野 代打でガツン!逆転V打 勝負強さ健在「ベテランと呼ばれぬよう…」
「DeNA5-10広島」(20日、横浜スタジアム)
極限まで集中力を高めていた。2-3の八回。広島・長野久義外野手(35)は深呼吸し三嶋と対峙(たいじ)した。「良い所で使ってもらった。何とかしたかった」。思いを込めた一振り。チームを逆転での開幕2連勝に導いた。
2死一、二塁で中崎に代わり出番が来た。いつもより、わずかに左足を早く上げてタイミングを取ると149キロの直球を完ぺきに捉えた。「一塁から翔太(堂林)がよく走ってくれた。ナイスランです」。左中間を真っ二つに破った。値千金の逆転2点適時二塁打が生まれた。
ベンチでナイン全員が拳を突き上げる。「長野に託した。しっかりと期待に応えてくれた」と喜んだ佐々岡監督も手を上げて拍手を送る。前日19日には指揮官から「しっかり準備しておいてくれ」と声を掛けられた。燃えないはずがなかった。
梅雨時期の開幕。1勤1休などコンディションや精神面で難しい調整を強いられたものの万全でグラウンドに立つ。「状態は問題ない」と35歳。続けて「まだまだ(チームに)先輩がいるので。ベテランと呼ばれないよう頑張ります」。スタメン出場を含め、どんな状況でも力を出し切る準備はできている。
「自分よりもチームが勝つことが何より」と力を込めた長野は、新人への思いも口にした。
「あしたは(21日)は森下が初登板する。みんなが点を取ってくれると思うから楽しんで投げてほしい」
カープのユニホームを着てプロとしての第一歩を踏み出す右腕。全力で支えていく覚悟だ。