右肘手術から復帰目指す広島・大瀬良は適度な調整速度を守って OB北別府氏が助言

 昨年、右ひじの手術を受けた広島・大瀬良大地投手(29)が復帰を目指して自主トレをスタートさせた。ボールのキレと威力はどこまで戻るのか。その可能性をデイリースポーツウェブ評論家の北別府学氏に聞いた。

  ◇  ◇

 昨シーズンはスタートして暫くの投球は沢村賞も可能だと思って期待していたんだけどね。完投もあったし、エースらしいピッチングをしていただけに残念だった。肘を手術したわけだが、問題はキズの程度で、回復具合が気になる。自主トレで、じんわりとキャッチボールから始めてキャンプ、オープン戦と経過していく中で、昨年の反省課題を見極めながら内容をしっかり確かめながら投げていく必要があるね。

 私も現役最後のほうで、肘を痛めてしまった。手術はしなかったけど、寒い春先はなかなかぬくもらずに困ったものだった。パラフィン治療器という機械を導入して肘を温めたりしていました。その後、阪神戦のあとあたりから大切に守ってきた肘に水がたまるようになってしまい、次の年からはとうとう試合前に痛み止めの薬を服用するようになった。

 (78年から88年まで11年連続で2桁勝利を記録。2年間、1桁勝利が続き、91年に再び2桁となる11勝を挙げ92年、通算200勝に到達する14勝を記録した。その間に故障も経験したが、総じて丈夫だった)

 プロに入る前は毎日、300球投げていた。プロ入り後はキャンプの前半は80~90球、後半は100球以上。300球の日も1回は設定した。とにかく投げないと感覚がつかめない。200球までは普通に投げられるものだが、それを超えるとボールがおじぎをし始める。それでも下半身をしっかり使って腕を振れば、スピードは落ちてもキレを保つことができる。つまりその投手の最もいいフォームが出来上がるんですよ。そして、いかにコースを狙って、高い意識で“ここへ投げるにはどうすればいいか”と考えて投げるか。その1球、1球に意味がある。そうすることで、体重移動など体の使い方も身につき、ストライクゾーンの四隅へ投げるコツも覚えることができる。だから球数は大事なんですよ。

 昨シーズンは中日の大野雄が沢村賞を手にした。本格派の投手らしい投げ方ですよね。完投も多い。精神的なスタミナもある。私も現役のころは投げきるんだという気持ちでマウンドに立っていた。若いころ、ピンチになってベンチを見たら古葉監督に無視されて。江夏さんもいたころ。「頼るな」ということだったんでしょうね。自分に甘えが出るとさらにピンチを招く。いつか私もマウンドに投手コーチが近づいてきたら、センターの方を向くようになってね。完投が仕事だと思うようになったんですよ。

 (昨季は大野雄が記録した完投数は10。沢村賞を2度獲得し、同賞の選考委員でもある北別府氏はこの完投数を重く見る)

 ジョンソンが抜け、野村も年齢的に無理はさせられない。大瀬良中心に回っていくことに自身も責任を感じているはず。九里や森下のほか、新人の栗林もローテに入ってくる可能性がある。本人は故障後の不安の中、若手に負けられないという気持ちも強く、早めにトップギアに上げていこうとするかもしれないが、周囲がブレーキをかけて、適度な調整速度に落としてあげないといけない。そこが重要だと思う。

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