制球力を磨くには?「ホームベースと打席ラインの間を狙え」北別府氏が投球の極意説く
プロ野球のキャンプインが近づいてきたが、現役時代に絶妙の制球力を誇ったデイリースポーツウェブ評論家の北別府学氏は1球への“こだわり”の大切さを説いた。また先日、慢性骨髄性白血病を公表した元ソフトバンクの摂津正氏には励ましの言葉を贈った。
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私は現役時代、投球練習をするときは常に次のことを強く意識しながら投げていた。それはホームベースとバッターボックス、そのラインの間を狙うということ。中へ入ったとしても必ずボール半個か1個分。とにかくベース上を通過させてはいけないという意識。ボールとカウントされたとしてもいいという考え方でした。
(ホームベースの中にボールを集めて打者と勝負するという考えはない。ストライクを取るという練習ではなく、狙ったところへ投げきるという練習だ)
練習にもかなりこだわりを持っていたね。スピードがなかったから、そういう細工も必要だった。球速141~2キロだったかな。晩年は136キロ程度。変化球もカーブとスライダー、シュートだけ。ときどき遊びでフォークボールを投げていたぐらい。最近のピッチャーはスピードがあるから、そのスピードボールで勝負しようとして、多少甘く入っても気にしないのか、勢いで投げている感じだね。もっとコントロールにこだわり、1球1球を考えながら大事に投げてほしい。
最近は球数を抑える傾向にあり、そのため故障が多く、制球力に乏しい投手も目につく。数を投げることによってはじめて、投球フォームやボールを放す位置を体に覚えさせることができるんです。さらに言えば、つま先やかかとなど、体重のかけ方を工夫することで、コースへの投げ分けも可能になってくる。
大切なのは考えながら投げるということ。どこを、どう意識するか。150キロの球を何も考えずに投げても意味がないでしょう。変化球の練習でも5球、10球連続して投げるより、直球系と交互に投げるとか。連続して投げる練習も必要だけど、本番では1球ごとにサインが変わるもの。リリースポイントの感覚を身につけること。
(北別府氏が理想とする投球スタイルを貫くのは、阪神タイガースの西勇輝投手だという)
彼は典型的な考えて投げるタイプの投手。ボール球を振らしにくるかと思えばズバッとくる。本当に素晴らしい。
(カープの投手も)投げることが好きだと私たちに感じさせる投球を見せてほしいね。納得しないと投球練習を終えない、というような。コントロールのいい投手はそういうタイプが多いと思う。
(投球論が続いたあと、慢性骨髄性白血病を公表した摂津氏に話題が移った。成人T細胞白血病と闘病中の北別府氏だけに、自分のことのように心配する)
白血病でも私と摂津君とは種類も治療方法も異なるのですが、同じ野球選手、激しいスポーツをしていた選手だけに本人も周囲の人も驚いていると思う。完治まで時間はかかるでしょう。
辛い事も多いと思うが根気よく治療すれば、また元気になるはず。私の場合はかなり病気も進行していたのですが、素晴らしい主治医さんと出会えた事も非常に恵まれていた。
治療過程でしんどい事も多いと思いますが、完治を目指して頑張って貰いたいと心から願っています。