韓国が『代表ポイント制』を導入した理由

 16日開幕の「ENEOS アジアプロ野球チャンピオンシップ2017」は日本、韓国、台湾の3つの代表チームで争われる。野球の国際大会にも精通するスポーツライターの木村公一氏が、韓国が導入した『代表ポイント制』について解説する。

 2020年に向け、隣国のライバル韓国も国際大会への取り組み方を大きく変えた。その顕著な例が『代表ポイント制』である。

 五輪やWBC、プレミア12など国際大会の規模に応じて、参加した選手に補償としてポイントを与えるという画期的なシステムだ。

 例えば五輪、WBCクラスなら参加するだけで10ポイント。さらにベスト8、ベスト4と勝ち上がるに従って加算され、優勝時には最大で60ポイント得られる。

 このポイントは何に変えられるかというと、ズバリFA資格を得るために必要な稼働日数に置き換えられるのだ。つまり60ポイント取得した選手は60日分、短縮される。わずか1試合足りなかっただけで、もう1シーズン待たなくてはならないといったこともある選手の立場にしてみれば、この減免は大きい。

 これはアマの参加が多いアジア野球選手権やU-23W杯にも適用される。アマの選手に交換できるポイントを、というのはピンと来ないかもしれないが、例えば大学生でアジア選手権に出場し、優勝すれば20ポイント得られる。プロ入り前にFAの20日相当が減免されることになるのは、選手にとっても大きなメリットになる。

 これまで韓国といえば兵役免除が国際大会での恩恵として知られているが、現在は五輪でのメダル獲得とアジア大会は優勝のみ。野球競技にしてみれば、近年、五輪は種目自体外れていたため、選手はアジア大会でしか恩恵を得ることができなかった。

 そのため、厳密にはこれまでも大会の参加日数に応じてFAに必要な日数を減免する措置はあったのだが、今回のようにポイント制にすることで、より明確となり、選手のモチベーションをくすぐるに足りる規定ともなった。

 ここまで大胆な“ルール変更”に踏み切ったのは、選手の国際大会における参加意識の低下にある。韓国といえば常に国際大会で実力以上の力を発揮する強国というイメージがあるかもしれないが、近年はFAなどで年俸高騰もあり「国際大会でムリをしたくない」と消極的になる選手も目立ってきている。そこでKBO(韓国野球委員会)としても、窮余の策として“FA短縮”というニンジンを提供するに至ったわけだ。

 このポイント制は、今回の「ENEOS アジアプロ野球チャンピオンシップ2017」にも適用される。果たして選手たちは目の色を変えてくるかどうか。いずれにせよ日韓戦がより面白くなることに違いはない。(スポーツライター・木村公一)

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