【神機一転】狩野恵輔、赤星オーナーの中学野球チーム総監督就任

 主に代打として活躍した阪神・狩野
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 今オフ、10人の選手が阪神を退団した。コーチなど野球に関わる仕事に就く者、会社員になる者…。それぞれ新しい人生に挑戦する虎戦士の思いを2回にわたってお伝えする「神機一転」。第1回は数々の故障を乗り越え、代打の切り札として虎党の記憶に残る活躍を見せた狩野恵輔外野手(34)。

 狩野の名前がコールされると、ファンはいつも大歓声を上げた。幾多の苦労を乗り越え、苦しい道のりを歩んできた背番号99の背中を押すように-。野球は記録のスポーツと言われる中で、数字よりも生きざまを記憶に焼き付けた選手。現役生活にピリオドを打った今、次なる視線は子供たちへと向いている。

 「たまたま、そういう話をいただいて」と、1日に阪神OBの赤星憲広氏がオーナーを務める中学生を対象とした硬式野球チーム「レッドスターベースボールクラブ」の総監督に就任した。まだ技術的、精神的にも未熟な子供たちを指導することに「大人に伝えることよりも難しい。自分の中でかみ砕いて話をしてあげるようにしないと」と言う。

 その中でも絶対に伝えたいことは人間性。「何が起こるか分からないよっていうのは絶対に伝えたい。そしてちゃんとやってる人には“何か”が起こるし、ちゃんとやってない人にはその“何か”は起こらない。それは野球だけじゃなくて、私生活面でも同じ」と明かした。

 それは狩野が歩んできた野球人生そのもの。誰よりも真摯(しんし)に取り組んできたからこそ、周りが自然と支えてくれた。度重なる故障に見舞われても、球団は狩野だからこそ復活の時を待ってくれた。

 右肘の手術、困難を極めたヘルニアの治療。育成契約に切り替わっても、決してあきらめなかった。どんな時でも前向きなハートを失わなかった。開幕マスクをかぶった09年、スローイングに自身が不安を抱えていた中でサポートしてくれたのは投手陣。盗塁を許しても、ピッチャーが「俺の責任もあるから」と声をかけてくれた。

 甲子園での引退試合も掛布前2軍監督を含めた全員の総意で決定。「引退試合をやらせてもらったことで全部が報われた。そんなことができる選手だとは思っていなかったから。すごい成績を残したわけではないけど、みんなが送り出してくれて」と背番号99は感謝の思いを口にした。

 第2の人生へ-。「子供たちに野球を教えることはなかなかできない経験」と表情を引き締めた。「自分を成長させてくれたもの。人間的にもね」と語る野球の魅力、そして楽しさを次代のプロ野球選手へ紡いでいく。

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