原口 九回2点打で代打打率・514 シーズン代打安打球団3位タイ

 「阪神4-6広島」(15日、京セラドーム大阪)

 執念をバットに込めた。“代打の神様”の名を襲名しても誰も文句をつけることはない。劣勢の状況、勝負どころで、阪神・原口のバットが快音を響かせた。目の前で鯉のVマジックは点灯したが、諦めない。チームの思いを表す一打だった。

 「あそこでランナーをかえせたらまだ分からない状況だった。点が入って良かったです」

 伊藤隼の代打で登場した。4点を追う九回2死二、三塁。広島の守護神・中崎が投じた1ストライクからの2球目、外角高めの134キロスライダーを迷いなく振り抜いた。打球は中堅・丸の前にはずんだ。その間に二走・糸原も一気に生還し、2点を返した。

 前日・14日の同戦では、1点を追う八回1死一、二塁の好機で中前適時打を放ち同点。限られたチャンスの中でも好調な打撃を保ち続けている。

 これで代打成績は35打数18安打15打点で打率・514。セ・リーグの代打最高打率は1974年の長崎慶一(大洋)の・469で、球団最高は1997年に八木裕が記録した・405。仮にこのままの打率を残せば、シーズン最高打率となる。

 高い集中力を発揮し、快音を響かせ続ける若武者。08年に桧山進次郎の23安打にあと「5」とした。シーズン代打安打の球団記録にも着実に近づいてきている。

 冷静に打席に立ち続ける原口。投手の“間(ま)”ではなく、打席を外したりして自分の“間”に持ち込む。「狙い球を絞って打席に立っている」と心の中を整理してから向かう事で、結果へとつなげている。

 残り46試合。首位・広島が優勝へのカウントダウンをスタートさせたが、シーズンはまだ終わってはいない。一つでも上の順位へ。虎の勝負師が“必死のパッチ”でチームを支えていく。

2023-11-05
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