矢野監督、執念采配ズバリ 初回一塁走らず…木浪に代打・上本で追加点

 「ヤクルト5-13阪神」(18日、神宮球場)

 試合後の会見場。阪神・矢野監督はしばらくテレビ画面に映る岩田のヒーローインタビューを見つめた。昨季は2軍で過ごす時間が長かった左腕の復活。「岩田にとっても、チームにとっても大きい1勝になった」。穏やかな表情でヒーローを称えたが、勝利の背景には指揮官のぶれないタクトがあった。

 三回だった。大山のソロで4点差に広げ、さらに1死一、三塁。2打席目の木浪に代打・上本を送った。

 木浪は初回1死二、三塁でワンバウンドした球に空振り三振後、一塁へ全力疾走していなかった。「やることやらんとか、諦めるような選手は使いたくないから」。成長を期待して起用してきた新人を1打席で交代させる執念の采配。毅然(きぜん)とした姿勢を示し、上本の左犠飛で追加点を奪った。

 5点リードの四回無死二塁は、北條に送りバントを指示した。本塁打が出やすい神宮で相手は強力打線。一気に展開が変わる可能性もある。「チームとしてはしっかりとした形で点を取ることの方が大事。しっかりした野球をやりたいなと」。結果的に今季2度目の2桁得点へとつながり、ヤクルトは四回で主力が交代。相手に諦めさせる展開を作った。

 19日からは甲子園に帰り、前カードで3連敗を喫した巨人と対戦する。「チャレンジしていくしかない」。必ずやり返す。強い決意でタクトを振る。

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