12球団ナンバーワンの投手力を有効活用せよ!!虎レジェンドが矢野阪神の浮上策を提言

 このまま虎は終わってしまうのか…。球宴後の2カードを2勝3敗で終え、借金「3」の4位で今週の2位・DeNA、首位・巨人との6連戦を迎える矢野阪神。2位が混戦模様でCS(クライマックスシリーズ)争いは激烈な状況だが、貧打にあえぐ阪神は苦戦が続く。今週の正念場を前に、虎のレジェンドOB・小山正明氏は「打てないんだから、守ることに徹するべし投手力の有効活用こそ浮上のカギ」と提言する。リーグナンバーワンの防御率を誇る虎投をフル活用できるのは矢野燿大監督(50)のみ。ここからは指揮官の真の手腕が試される。

  ◇  ◇

 「ボヤキの小山やで」-。現役通算320勝を誇る虎のレジェンドが、古巣の現状にボヤキまくっている。球宴後、中日に敵地(ナゴヤドーム・豊橋)で屈辱的とも言える3連敗を喫し、都合6連敗で本拠地・甲子園に戻った。19日の雨天中止を挟み、20日は最下位・ヤクルトにサヨナラ勝ちで何とか連敗を止め、翌21日も近本の逆転3ランなどで連勝を飾ったが、上位追撃の“勢い”はまだまだ弱い。冒頭の小山氏の言葉は、投手力にオンブに抱っこの状態を嘆いてのもの。決して連勝に浮かれていられない-という感想は氏と同じだ。詳しく聞いてみよう。

 -今季最多タイの6連敗後、最下位のヤクルトに連勝。何とか泥沼状態から脱した感じはしますが…。

 「これまで勝ち運に恵まれなかった西がよう頑張ったね。バレンティンに先制ソロを浴びた後、崩れんかったのが彼の真骨頂。六回に1点差にされたが、そこから踏ん張れたのが勝因やろう」

 -そこまでの6連敗は本当に苦しかったですね。球宴直後の中日戦が3連戦3連敗。いずれも自慢の中継ぎ陣が崩れての負けでした。本来なら勝ちパターンなのに落とすダメージはととてもなく大きかった気がします。

 「初戦がジョンソン、次は小野、最後が藤川か…。先発陣はそこそこ踏ん張っているのに、打線の援護がないために中継ぎ以降が耐えきれなくなって致命的な失点をする。本当に悪循環やったね。しかし、2戦目(16日)の試合は本当に頭にきたわ。2-2の同点で迎えた九回裏、マウンドに小野を上げたやろう。その結末が押し出し四球や。しかもカウント3-2から投じた球が誰が見ても完全ボール。あれは心底ガックリしたで」

 -あの局面で小野を出さざるを得ない状況になったところに、敗因があったのかもしれません。

 「信頼できる藤川らをそこまでにつぎ込んで、最後の選択肢として残ったのが小野だった、ということやろうが、負けられん試合ならストッパーのドリスでもええんや。あの場面でストライクが入らん投手を出さんといかん、というのは辛すぎる。完全なボールの押し出しを他の選手らはどう見たか…。僕はあれが3戦目の豊橋での逆転負けにつながったと思う」

 ジョンソン、小野、藤川の中継ぎ陣が揃って崩れて3連敗を喫したのは確かに痛いのだが、それ以上に中日に都合7連敗となって「竜は苦手」という意識が固まってしまったのではないかと危惧する。昨年最下位に沈んだのは、後半ヤクルトに10連敗を喫したのが要因。それだけに、CS争いのライバルである与田竜に負け続けているのは今後に向けた大きな悩みの種と言える。

 この連勝で一息ついたとはいえ、得点力不足にあえぐ阪神の苦境はまだまだ続く。今週は2差で追う2位・DeNAを甲子園に迎えての3連戦後、週末は9差離されている首位・巨人と敵地・東京ドームで相まみえる。巨人はともかく、DeNAにこれ以上離されてはCS圏内から遠ざかってしまう。中日云々言う前に、まずこれを突破しないことには始まらない。では、どう突破したらいいのか?小山氏にさらに聞く。

 -今週の6連戦。矢野阪神にとっては生き残るか奈落に落ちるかの瀬戸際とも言えますが、どうすれば生き残れますか?

 「もはや打線には期待せん。得点力不足、長打力不足はもうどうしようもない。点が取れんなら、点をやらんように投手陣が頑張るしかない。阪神のチーム防御率は3・42でソフトバンクと並んで12球団トップタイや。それをフル活用して接戦を獲っていくことやろう。試合数が少なくなっていくんやから、これまでのような判で押したような使い方やなしに、臨機応変の投手起用を矢野監督には求めたいね」

 -シーズンも残り2カ月あまり。もはや“型”にこだる必要はなし、ということですか?

 「そう。藤川がよければ複数イニング行かせていいし、場合によっては終盤じゃなくて中盤に投入したっていい。ジョンソンやドリスも1イニングに限らんでもええわけや。その試合を勝つために何がベストか。そこを考えながらやってほしい。『監督経験のないお前が何言うてんのや‼』と言われるかもしれんが…(苦笑)」

 -いやいや、現役通算320勝を挙げた小山さんの言葉は重いですよ。ともかく、12球団随一の投手力で難局突破ですね。

 「最低でもCSに行ってもらわんと困るからなぁ。先発陣も西や高橋遙、岩田も安定した力を見せとる。彼らを中心に、しがみついていかな仕方ない。何度も言うようやが、最後は指揮官の手腕にかかってくる。思い切った采配を望むよ」

 早ければ24日の2軍戦で新助っ人・ソラーテが実戦デビューを果たし、ふくらはぎ痛で2軍調整を続けているベテラン・福留にもメドが立ちつつある。これらのカンフル剤注入で打線が活気づき、安定した投手陣とうまくかみ合えば勝率5割突破も視野に入ってくる。小山氏同様、硬軟織り交ぜた矢野采配に大いに期待したい。(デイリースポーツ・中村正直=1997~99年阪神担当キャップ、前編集長、現販売局長)

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