鳥谷、復活打ァ 自己最長75戦ぶり先発で今季初マルチ ショートで好守!初犠打も

 「阪神6-6DeNA」(23日、甲子園球場)

 定位置から眺める光景は格別だ。阪神・鳥谷敬内野手(38)が、自己最長ブランクとなる75試合ぶりの先発出場で、今季初のマルチ安打。遊撃では横っ跳びの好守でピンチの芽を未然に摘み、今季初犠打で好機を整えた。今季5度目の引き分けに終わったが、背番号1が頼もしく映った。

 待ち焦がれた時間が、そこにあった。ファンも、鳥谷自身も願い続けた場所。定位置へ懐かしい風を切って駆ける。「もう一回、ショートのポジションに立てるように頑張っていきたい」。開幕戦、お立ち台で誓った約束があった。帰ってきた。最後の最後まで懸命に戦い続けた。

 鳥谷はネクストで引き分けの瞬間を迎えたが、何度も投手陣を鼓舞し、内野陣を奮い立たせた。4時間33分の死闘。得点につながった2本の安打に、今季初の犠打。同点で迎えた八回1死満塁の勝ち越し機では、二飛と凡退。悔しさに表情は曇る。だがその全てに、この日へ向けて準備し続けた鳥谷敬の思いが詰まっていた。

 矢野監督の抜てきに攻守で応えた。五回1死一塁から右前へ運び、先制点をアシスト。七回には今季初マルチとなる左前打を放つと、1点差に迫るホームを踏んだ。二回は美技が光った。中井の二遊間を抜けようかという打球をダイビングキャッチ。即座に一塁へ送球し、ピンチの芽を未然に摘んだ。

 ようやくたどり着いた舞台だった。100日ぶりの先発出場。4月14日の中日戦(甲子園)以来、74試合の先発落ちはプロ16年間で最長だった。「久しぶりでしたけど、しっかり出ることを想定して練習していたので。準備はできていました」。毎日欠かさなかった準備。発揮できるチャンスに、募る思いは熱を帯びた。

 男と男の約束があった。大歓声の中で、パチンと音が響く。笑顔と笑顔のハイタッチだった。「俺がマウンドに立っているときに、ショートを守ってもらいたい」。藤川と鳥谷が見せる夢の続き。延長十一回だ。1点も許されない場面で、藤川の3つ目のアウトを完成させたのは鳥谷だった。ほんの一瞬流れた2人だけの時間。表情に喜びが伝わった。

 「ウル虎の夏 2019」の初戦。勝ちきれなかった。それでも聖地に熱気を生んだのはベテランの躍動、そして“復帰”だ。矢野監督は「もちろん。それは」と今後も先発起用する可能性を示唆した。ユニホームに真っ赤な炎が燃え上がる。灼熱(しゃくねつ)の夏へ。約束は力に変わる。夢の続きを描く。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

阪神タイガース最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(阪神タイガース)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス