ドラ1近本 109安打!ミスター超え157安打ペース
「広島7-0阪神」(2日、マツダスタジアム)
最後まで諦めず、食らいついた。九回1死。阪神ドラフト1位の近本が大瀬良のフォークボールをバットの芯に乗せた。痛烈な打球は中前へ。今季通算109安打目となり、58年に長嶋茂雄が打ち立てた153安打のセ・リーグ新人記録を上回る157安打ペース。猛虎打線が沈黙する中、新人のバットは輝きを放った。
「前の打者は関係なく、その時に回ってきた状況を考えて。僕の仕事はホームランを打つことではなく、塁に出ること。そこはできたかなと思います」
気温と共に近本の打撃も上昇中だ。この日は7月4日のDeNA戦以来となる「2番・中堅」で起用された。打順が変わろうが、やることは同じ。初回1死で迎えた第1打席。1ボールからの2球目、右腕の127キロスライダーを中堅へはじき返した。5試合連続安打。後続が断たれたものの、チャンスメークした。
プロ1年目。開幕からフル稼働してきたが、6月には打率1割台と大不振を味わった。「何かきっかけをつかまないといけない。打てない中でも、四球であったり、まずは塁に出ることを考えて」。結果が出ず、苦悩する中でも、チームに貢献するために求められていることは見失うことなく不振脱却の糸口を探っていた。
ようやくつかんだ勢いを無駄にはしない。球宴でサイクル安打を記録し、完全に復調。7月は打率・295と本来の姿が戻ってきた。大記録を視界に捉えても、常々話すのは「先のことを考えるのではなく、目の前の一戦一戦」と勝利につながる一打を求める。
勝負の8月。このまま垂れていくわけにはいかない。偉業達成へのカウントダウンが、チームを浮上へ導く。