残り24試合は15勝9敗!!V字復活の矢野虎にレジェンドOB熱望

  原巨人に優勝マジック「20」が点灯する中、一時は借金7にまで転落した矢野阪神もV字復活?を遂げた。先週今季最長となる5連勝を飾るなど、8月2日に甲子園を離れてからの7カード21試合を10勝10敗1分で耐え抜いた。27日からは中日、巨人と甲子園に戻っての6連戦。これを含む残り24試合に、レジェンドOB・小山正明氏は「14勝10敗じゃ苦しい。15勝するためにあらゆる手段を尽くしてほしい」と熱望した。また、その手段の具体案して、今やエース格・高橋遙の“集中登板”を挙げた。

  ◇  ◇

 4月に借金6からDeNAに3連勝し、貯金生活までV字復活した時のように、矢野阪神が再びDeNAを踏み台にして当面の目標だったCS圏内にまで舞い戻った。京セラドームで息を吹き返すと、神宮でもその余勢を駆って連勝。最後の25日こそガルシアが撃沈したが、今季最長となる5連勝で先週(巨人に3連敗)の鬱憤(うっぷん)を晴らした。個人的には、5位・中日にも抜かれる悪夢まで想定していたが、それを杞憂にするような戦いぶりに、内心ホッとした。

 虎のレジェンドOB・小山正明氏も同じ思いだったようだ。首位巨人にいいようにあしらわれて3連敗した先々週、強い語調で「戦い方に目標が見えん!!」と叱っていたが、先週の5勝1敗という成績には「よう頑張ったよ」と素直に評価した。5連勝中に先発した全投手に白星がついたことも高評価の一因だった。

 -こう言っては大変失礼ですが、ちょっと予想外の結果でした。巨人に3連敗して借金7までへこんだのに、5連勝ですよ。だったら最後も勝って6連勝にしてほしかったですが…。

 「なあ(笑)。しかし最後のガルシアは…。勢いに乗っていってほしかったのに、5イニングを持たんのやからなあ。1点リードの五回2死満塁から代打・中村に逆転の2点適時打。あのバッター抑えていれば阪神自慢の中継ぎ陣がフル稼働して白星がついたかもしれんのに、毎回同じことしとる。あれにはガッカリしたわ」

 -連勝が止まるとしたら、ガルシアの時だと思ってましたよ。最下位のヤクルトだけに3連勝して甲子園に戻ってほしかったのが本音。しかし、先週、いや、甲子園を高校野球に明け渡してからの7カード21試合を、10勝10敗1分なら御の字とみるべきかもしれません。

 「そらそうやで。途中、あれだけ矢野監督がこだわってきた大山を4番から外す決断をし、唯一の3割打者だった糸井が負傷で2軍に行ってしもた。ただでさえ打てんチームなのに、この詰めの段階で打線がガタガタになりかけながら、何とか長期ロード(ホームの京セラ6試合を含む)で勝率5割やったんやから、これはちゃんと評価せんといかん」

 24日に首位を走る巨人に優勝マジック「20」が点灯。2005年以来、14年ぶりのリーグ制覇を目指した矢野阪神には絶望的な状況ではある。ただ、14年の和田政権以来となる日本シリーズ出場への道は、先週の5連勝で残された。26日現在で、3位・広島との差は「3」。2位のDeNAとは「3・5」だから、残り24試合で十分逆転可能だ。そこで小山氏に今後の戦い方について再度尋ねた。

 -残り24試合。矢野阪神はどれくらいの数字を目標に立てて戦っていくべきでしょうか?

 「14勝10敗、と言いたいところやけど、それでは厳しいやろう。今借金3だからこの数字でいけば勝率5割を超えることになるが、僕は15勝を一応のラインにすべきと思う。現状、相当難しい数字やけど、そのために監督。コーチ、選手個々が何をすべきか。そこを考えながら、目の前の勝つべき試合を確実に取っていくことやないかな」

 -27日からは甲子園で中日、巨人の6連戦。小山さんは何がポイントだと思われますか?

 「地元に帰ってきて、熱烈なファンの目線を浴びながらの試合になる。優勝はほぼなくなったとはいえ、CS争いで言えば、これからが緊張感溢れる試合が続く。先週もその前も言うたけど、もう通常のシーズンのような戦い方じゃダメ。多少の無理をしてでも全力で勝ちにいく必要がある。1点、2点負けても、勝ちパターンの投手を出して次の攻撃で逆転する、という気迫の込もった選手起用をベンチにはお願いしたい」

 5連勝中は、先発が曲がりなりにも五回をリードして終え、残り4イニングを小刻みな継投で死守して勝ちを拾っていった。全体的には肯定的な小山氏だが、こと先発陣の投球内容には不満を呈する。「6人のローテーション投手の中に、最低でも1人は完投能力のある選手がほしい。でないと、いくら鉄壁の中継ぎ、抑え陣とはいえ、いずれ疲弊する。僕は、まだ2年目だけど高橋遙にはその責務を負ってほしいと思う。彼にはこの後、中4日、中5日で投げてチームを勢い付けてもらいたいね」。潜在能力を秘める高橋遙をDeNA、広島追撃の旗頭に立て、残り24試合を完全燃焼し、目標とするCS進出を果たせとゲキを送る。

 最下位に沈んだ昨年は、長期ロードで勝率5割をキープしながら甲子園に戻った最初の3連戦で3連敗を喫し、泥沼に沈んでいった。今年はその轍(てつ)を踏んではいけない。今季7勝12敗1分と苦手の中日に最低でも勝ち越すのが、小山氏が熱望する「15勝9敗」への必須条件。そして週末、何とか首位・巨人に一矢報いたい。(デイリースポーツ・中村正直=1997~99年阪神担当キャップ、前編集長、現販売局長)

【販売局インフォメーション】

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