横田が涙の引退セレモニー「感謝の気持ちでいっぱい」 背番号「24」姿も

試合後、ナインに胴上げされる阪神・横田慎太郎(中央)=鳴尾浜(撮影・北村雅宏)
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 「ウエスタン、阪神4-2ソフトバンク」(26日、鳴尾浜球場)

 限られた時間を惜しむかのように、ゆっくりと時間が流れた。夢を乗せ、懸命に戦い続けたあなたへ。阪神の横田慎太郎外野手(24)の引退セレモニーが行われた。1軍選手もユニホーム姿で駆けつけた最後の日。感謝が、涙と笑顔に変わった。

 開門前から100人が列を作って待った。練習中には横田の登場曲、ゆずの「栄光の架橋」が優しく流れる。多くの虎党が背番号「24」や「124」のユニホームを着て、タオルを掲げ、その姿だけを待ち続けた。横田自身がグラウンドに立ちたいと願い、その夢が叶うその瞬間を。ライトスタンドも異例の解放をし、両親も駆けつけ、矢野監督も駆けつけ、その瞬間を待ち焦がれた。

 そして八回2死に訪れる。横田が目指し続けた中堅の場所。駆け足で進むその足どりには、病気と闘い、戦い抜いたこれまでの6年間が詰まっていた。拍手と声援で迎え入れられると、まずは中越えの二塁打。それでも、その直後だった。野球の神様が、頑張る横田にほほ笑む。打球は中前へとはじき返されたが、これを横田がノーバウンドで本塁へと送球。本塁でアウトにしてみせた。仲間との笑顔のハイタッチ、そのプレーを見つめた1軍選手たちも総立ちで祝福した。

 最初で最後になった、横田の“復帰戦”。4-2の勝利で終えると中堅からマウンドへ。最後のあいさつの時間を迎えた。伝えたいのは感謝の気持ち。「いつも自分以上に、必死に応援してくださって。ファンの皆さんには感謝の気持ちでいっぱいです。本当に、本当に今までありがとうございました」と涙ながらに思いをはき出した。同期入団の梅野と、矢野監督、そして自身の両親らから花束を手渡された。

 セレモニーには桧山進次郎から受け継いだ入団当時の背番号「24」で臨んだ。電光掲示板には、横田がスタメンに名を連ねた2016年開幕戦のオーダーが表示された。見守る阪神のチームメートは多くの選手が涙していた。マウンドで5回胴上げされて、横田の復帰戦は締めくくられた。

 2017年の春季キャンプ中に脳腫瘍が判明。入院、加療を経て同年8月30日の最終検査で、安定した状態となる「寛解」と診断された。苦しかった2年半のリハビリ生活。それでも、どんなメニューも最後まで弱音を吐くことはなかった。

 タテジマを着て、6年。プロ通算38試合、109打席、打率・190。「(同じ病気で)今苦しむ方がたくさんいると思うので、いいところは見せられませんでしたが、これから何かの形で少しでもいいところを見せられるように。頑張っていきたい」-。中堅まで全力疾走で駆ける。その姿に、最後まで夢と希望を乗せて。背番号124がグラウンドを去る。

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