「阪神秋季キャンプ」（９日、安芸）

　阪神の近本光司外野手（２５）が９日、高知県安芸市での秋季キャンプで２５歳のバースデーを迎えた。誕生日は打撃練習に終始し、午後からの特打など徹底的に振り込んだスイング数は９３３を数えた。さらにこの日は、新人選手２人が秋季キャンプを訪問。先輩になることを改めて実感し、２年目を前に「初心と謙虚」をテーマに掲げた。

　苦しそうに膝をついた。振ってはボールを集め、また振り始める。２５歳の誕生日を迎えた近本が、決意の９３３スイングだ。「祝ってくださいよ」。優しい笑顔で始まったこの日の取材。初心と謙虚を来季のテーマに掲げた。

　この日は、新人たちが秋季キャンプを訪問。激動のルーキーイヤーが終わり、近本はプロ“２年生”になることを改めて実感した。「こういうの何て言うんですかね…」。少し悩んだ後に、出てきた言葉は「謙虚に頑張りたい。初心でやることが大事なので」だった。初心を忘れない－。それが目に見えない“壁”をぶち破る原動力になる。

　スポーツ界で叫ばれる２年目のジンクス。それでも近本は、明るく言い放った。「僕が来年打てなかったら、２年目のジンクスって書いていいですよ」。今季はシーズンの中で好不調の波を実感。安定した成績を残すために、自分自身で考える力をつけようとしている。

　ティー打撃一つとっても、この日だけで６種類。打撃練習トータルで９３３もの数を振り込んだ。トスを上げた井上打撃コーチも、あえて緩急や高さに変化を作り、対応力の幅を広げようとした。

　ルーキーイヤーで長嶋茂雄が保持していたセ・リーグ新人安打記録を更新する１５９安打を放ち、３６盗塁で盗塁王を獲得。「今年はもう過去の成績。来年になったらゼロになります」。２５歳の誓いは、スイングと共に。振り込んだ先に、来季のさらなる飛躍が約束されている。