【コーチに聞く・藤井彰人バッテリーコーチ】梅野に求める、より信頼される捕手への成長

 阪神の藤井彰人バッテリーコーチ(43)は、不動の存在に成長した梅野隆太郎捕手(28)に、侍ジャパン入りを求めた。2年連続でゴールデングラブ賞を獲得した正捕手。「技術的に言うことはない」と認めつつ、求めるのは「信用」された捕手から、「信頼」される捕手への成長だった。今後も二人三脚で寄り添い、日本一の捕手を育てる覚悟だ。

  ◇  ◇

 担当部門として、藤井バッテリーコーチは、まだ梅野に伸びしろを感じている。2年連続ゴールデングラブ賞を受賞。球団では1973、74年の田淵幸一以来、45年ぶり2人目の快挙である。秋季キャンプ第3クール中。昼食会場で2人、話をする機会があった。褒めることはしなかった。

 「何で成績残してるのにWBCに選ばれてないねん。来年、お前に期待してるわ」

 キャンプは梅野、長坂、片山の3人の捕手が参加。原口や坂本も正捕手の座を狙う。ただ、現時点で、梅野の存在は絶対的なものである。「技術的なことでいえば、投げる、捕る、止める。打たれる、打たれないは分からない。でも、三つでいえば、隆(梅野)が出れば安心できる」。だからこそ、日々の練習は自主性に任せた。

 技術的な取り組みではトラックマンの数値を参考にし、捕球練習に重きを置いた。データ上ではストライクをいくつか、ボール判定されているケースがあった。ミットを一回り小さいものに新調。盗塁阻止率にもつながる捕球動作を、キャンプでは二人三脚で取り組む姿があった。ただ、それ以上に伝えたかったのは、心技体でいう「心」の部分だ。

 「一年見た俺の感想として伝えた。目配り、気配り、思いやり。足らないわけじゃないけど、先輩と後輩を受けるのでは違うように感じた。視野を広くというか、人の気持ちに寄り添うというかね」

 矢野阪神の新体制スタートと同時に、1軍バッテリーコーチに就任した。まず、梅野に伝えたのは「代表に選ばれる選手になろう」-だった。「技術的には信用されている。でも、変えられる部分はまだまだある」。現役時代から大切にする信念があった。野球は捕手のサインからプレーが始まる。投手がうなずき、野手が動く。選手だけじゃなく、家族の人生も背負う選択。だからこそ、根拠が必要だ。当時の担当コーチから伝えられた言葉だ。

 「野球のポジションを見ても分かるように、残りの8人が捕手を見ているでしょ。捕手がサインを出して、プレーが始まる。すごく見られているわけですよ。これが7カ月。トータルしたらすごい数、行動を見られている。だからこそ言葉だけじゃなく、行動で示せる選手になってほしい」

 願うのは信用された技術、実績だけじゃなく、より信頼させる存在になるための成長。代表のユニホームで世界と戦った時、それがチーム力アップにつながると信じる。「サインにはうなずかせるだけの根拠が必要。今まで以上にリーダーシップを執ることができたら、もっと大きくなるんじゃないかな」。梅野にも求めるように、担当コーチとして、寄り添う指導を続けていく。

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