阪神外国人列伝 2014年 本物だった呉昇桓の“石直球”

 阪神は2020年、球団史上最多となる外国人選手8人体制でV奪回に挑む。球団創設85周年のメモリアルイヤー。かつてタテジマのユニホームに袖を通した助っ人を年度別で振り返る。2014年は呉昇桓とゴメスが加入。メッセンジャー、マートンと助っ人4人でシーズンに臨んだ。

 呉昇桓は韓国・サムスンで通算277セーブ。“ラストボス”と呼ばれ、絶対守護神として君臨していた。ソウルでの契約調印式では「日本やアメリカでは抑え投手は1イニングしか行かないという話ですが、何イニング投げても構わない。抑えることが自分の仕事ですから」と言った。

 “石直球”と称される球質の重い真っすぐが武器。マウンドでは表情を変えない。愛称の“石仏”については「それを意識したことはあまりない。自然にそのままの姿です。ただ言えることはマウンドで笑うことはありません」と言い切った。 「ファンの期待は裏切らない」と宣言した通り、大リーグに挑戦した藤川に代わる守護神として大活躍した。1年目は64試合に登板して2勝4敗39セーブ、防御率1・76、2年目も41セーブを挙げ、2年連続のセーブ王に輝いた。親日家で仙台名物「萩の月」が大好物。オフには投手陣を韓国に招待し、後輩を自主トレに誘うなど、面倒見も良かった。

 ドミニカ共和国出身のゴメスは家庭の事情で来日が延期となり、調整遅れが心配されたが、シーズンでは4番として奮闘した。来日時には「パワーヒッターの仕事は大きいのを打つこと」とサラリ。来日1年目から143試合に出場して打率・283、26本塁打、109打点。打点王を獲得し、ベストナインにも輝いた。「パピー」の愛称でナインから親しまれ、15年は17本塁打、16年も22本塁打を放ったが、この年限りで解雇となった。

 14年はメッセンジャーが最多勝、マートンも首位打者に輝き、助っ人4人がタイトルホルダーとなった。チームは2位からCSファイナルステージで巨人に4連勝し、日本シリーズに進出。CSで6連投した呉昇桓はMVPを獲得した。日本シリーズではソフトバンクに敗れた。

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