【佐藤義則氏の眼】阪神・西勇のスタイルが一層セに合致 余裕の中で完全に制球
「巨人0-11阪神」(17日、東京ドーム)
阪神・西勇にとって、最高の条件がそろった中で、最高のピッチングができた試合だった。
2戦連続完封勝利が示す通り、好調はずっと持続している。ここに加えて、序盤に5点の援護をもらった。相手打線は坂本、岡本を欠いている。
本塁打の心配もない。接戦でコントロールミスが許されない、という場面もない。となれば、逆に西勇は巨人打線を見下ろして投げられる。その心の余裕がなおさら、思い通りのピッチングにつながる、という好循環だ。
真骨頂は、ベースの中での変化。つまりストライクの軌道から変化を加えるが、その中には、待っていればボールになる球も少なくない。しかし、余裕の中で完全に制球されており、打者はどうしても見送ればストライクを取られる気持ちが先行し、手を出し、ゴロを打たされる。
視野を広げれば、パワーヒッターの少ないセ・リーグに移って2年目。西勇にとって、自らのスタイルが一層、合致してきたことを示す試合となったように見えた。