阪神の事業本部振興部専属コーチに配属された上本博紀氏（３４）が５日、球団の年賀式で所信表明を行った。昨季限りで現役を引退し、タイガースアカデミーのコーチに就任。指導者として歩む第２の野球人生へ、熱い気持ちを言葉に乗せた。

　「自分の教わったこと、やってきたことは全部間違っていないと思うので、子供たちに伝えていきたいです」

　次代を担う少年少女たちに向けたメッセージ。広陵、早大とアマ球界の超名門で主将を務め、青春をささげた経験が今に生きる。「楽しさとか、厳しさとか、礼儀正しさだったりとか…」。不安もあるが、今までにない高揚感に包まれている。

　０８年度ドラフト３位で阪神に入団し、通算６９８試合に出場。近年は度重なる故障で苦しんだが、不屈の精神で最後までグラウンドに立ち続けた。「目標を持ってやることは大事だと思うし、野球以外にも通じることだと思う」。夢の後押しをしたい。燃える思いを一言一言に込め、新春の風を感じた。

　タイガースアカデミーの特別顧問は、１５年まで監督を務めていた和田豊ＴＡ。白仁田氏、柴田氏、今成氏ら現役時代に共に日本一を目指した仲間たちが、コーチとして一足先に金の卵と向き合っている。

　「やってきて良かったと思ったことがいっぱいある。それが大人になって分かってきた部分もあるので、そこを伝えていきたい」。第２の野球人生が始まる。子供たちに寄り添い、再び白球を追う。