うるま市の宜野座球場?

 【2月2日】

 下村海翔を見に行ってきた。ご存じのようにドラ1はファームでキャンプインした。だからなのか、具志川野球場の駐車場は「満車御礼」。こんなことは昨年一度もなかったそうだ。

 「おう、風か。いつから来てるんだ?」。2軍監督の和田豊から声を掛けられた。1日に沖縄へ入り、きょうはこちらへ…。そんなやり取りの後、ファーム関係者と一通り挨拶を済ませ、お目当てのもとへ…。

 プラチナルーキーはまだブルペンに入らない。キャッチボールの強度も緩やかなものである。メイン球場沿いの坂道をひたすら走る。トレーニングメニューで必要な筋力をつけ、宿舎でしっかり食べる。体を強く、大きく。そんなキャンプを過ごしている。

 具志川につめかけた虎党の声援も温かい。できるなら彼の「投球」を見たかった…そんなファンも、なぜ、大卒のドラ1が1軍スタートしないのか、およそ察しがついていると思う。

 1月の新人合同自主トレで背中に張りをうったえた下村だが、大事にいたらなかった。取材の限り、メディカルチェックの画像も◎。それなら1軍スタートでも?いや、冷静に見れば、誰もが納得のファームスタートである。

 青学大4年のシーズンは大学日本代表を含め、主力としてフル稼働した。肩肘に異常が見つからなくとも、本人にしか分からない張り、疲労がある。そんな彼に急がせる意味が、今の阪神にはないのだ。

 勝負は先…といえば、下村が大勢のファンにサインを書いているタイミングで、メイン球場では高校生ルーキーがノックを受けていた。山田脩也と百﨑蒼生である。たった半日見ただけだけど、どちらかといえば「守の山田」「打の百﨑」に映った。が、3年後は分からない。いずれにしても、今の阪神には熟成の猶予がある。木浪聖也、小幡竜平のあと…今更ながら唸らされる昨秋のドラフトだ。

 偉そうに書かせてもらうなら、下村も山田も百﨑もいい球団に入った。とりわけ下村は西宮市出身で子どもの頃から阪神ファン。素晴らしい良縁だけど、それ以上に今の阪神には彼をじっくり育てられる条件、環境が整っている。ローテ候補の絶対数を見ればすぐに指を折れる。そこに割って入る力を期待できるからドラ1なんだけど、じゃ、下村がキャンプの紅白戦からサバイバルに加わる必要があるかといわれれば、ない。勝負の世界に生きる者だから戦いたい。一年目の開幕から投手王国の一角に…そんな闘志がおのずとわいてくるだろう。でも、だからこそ万全で、120%で、土俵に上がらせてあげたい。そんなふうに思う。

 「ここ、うるま市の宜野座では…。あっ…」、僕の隣にいたサンテレビアナウンサー橋本航介がファームリポートでNGを出していた。旧知の彼は苦笑いしていたが、ファームの面々にはここ、うるま市の具志川野球場で研鑽を積み、若いうちに失敗を沢さん重ねてほしい。下村も、山田も、百﨑も…。その先の輝かしい未来を少し余裕をもって待たせてもらう。=敬称略=

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