2024.04.19

競馬ギガ盛ブログ「藤岡康太と高杉騎手」（４月１９日）

　栗東・井上です。１５日、康太とお別れしてきました。まだ受け入れられない。信じられない。心の整理がつかない。つらい。友を失った突然の出来事に気持ちがついていきません。

　騎手・藤岡康太については、語り尽くせない、というか、今は書くのがキツい。それでも、多くの人に愛された康太のことが、少しでも多くのファンに届けば、それが彼への報いや恩返しになるのかな…。そう思いながら日々を送っています。書くのが仕事です。でも、しんどい。

　予想をしながらレースＶＴＲを確認すると、ブーツの上にまぶしく光るピンクのサポーターが目に入ります。「北海道から見守ってくれる２人がすぐに見つけられるように」。笑顔でこう教えてくれたことがありました。おじいちゃん子、おばあちゃん子として育った康太らしい優しさです。ＶＴＲを見る度に映るピンクのサポーターに、涙が込み上げてきます。本当にありがとう。ご冥福をお祈りいたします。

　そんな康太にまつわる話を少し。中山グランドＪをイロゴトシが勝利。Ｖを確信したゴール前でした。「こーた！こーた、勝ったぞ！」。康太と仲の良かった黒岩騎手がこう叫ぶシーンがジョッキーカメラに収められていて涙腺崩壊。泣かせんといてよ－。栗東トレセンで声を掛けると、「アイツが勝たせてくれたんです」とうなずく黒岩クン。仲間っていいな、騎手ってカッコイイなと改めて思いました。

　新人・高杉騎手からも元気をもらいました。３月に藤岡厩舎からデビュー。騎手候補生のあんちゃん時代から、師匠の次男・康太を慕っていました。先週、土曜の福島７Ｒ。高杉騎手騎乗の１２番人気馬ゼットカレンが直線で馬群を割って差し切りました。ゼットカレンは、康太の師匠である宮調教師の管理馬。康太からバトンを受けて２戦目でした。

　よかったね。きっと康太も喜んでいるよ。言葉をかけると、「前回、乗る前に康太さんにいろいろと教えていただいて…。パドックでまたがって、左腰につけていた喪章を握ったんです。そうしたら、感じたことのない感覚になって、勝てる気がしました。僕にとって大きな１勝。康太さんが競馬を教えてくださいました」と目を潤ませる高杉クン。

　「人に元気を与えられる人間になります。康太さんのように」。１８歳のルーキーが、悲しみを乗り越え、たくましく成長した瞬間だったように感じます。こーた、みんな頑張っているからね。